「物理学におけるリー代数」 2章のメモ Part 1

どんな章か

物理学で頻出のリー群やリー代数の概念とその一般的な構造について概観した後に、それらが一章で導入した表現論の視点から解釈をできるという事を論じる。

論理の流れ

リー群

リー群の定義は、要は滑らかな群である。wikipediaとかには群構造を持つ可微分多様体とかって書いてあるけど、多様体の定義をひとまず理解したい様な最初の段階ではそんなに大きな意味を持っているわけではないので、気にしなくていいと思う。あと、僕が最初に勉強した時には「リー群ていうかっこいい名前がついているくせに、こんな単純な定義・概念でいいのか」とか不安に思ってしまったが、実際概念自体はとても単純なものであった。実際、離散的じゃない群ってだいたいリー群だと思っていい。

リー群の具体的な定義は本を参照するとして、その構造について考えよう。特にしっかりとイメージできていると嬉しい事項としては、「リー群の単位元の近傍にはその群に関する多くの情報が詰まっている」という事が挙げられると思う。感覚的な説明としては、「単位元とその周りの構造」と「単位元以外のとある点とその近傍の構造」は一致しているので、単位元の近傍の構造さえ知ってしまえば、その情報は群全体の構造の理解にも大きく貢献しそうだ。しかし、補足しておくと、おそらく単位元の近傍から得られる情報は群に関する完全な情報を提供するかと言われれば、おそらくそうではない。単位元の近傍で与えられる情報はあくまで局所的なものであり、大域的な位相構造などに関しては情報を提供してくれない。

さて、リー群に具体的に何らかの表現を与えたとしよう。その上で、単位元近傍でテーラー展開をすることを考える。その時、通常のテーラー展開ではxに相当する様な、テーラー展開に使用する文字が必要になる。その文字は群からいくつか適切な元を選ぶ事になるだろう。そうして選んだ元の集合を利用したテーラー展開によって、群の任意の元を表す事ができる時、選んだ元の集合を群の生成子と呼ぶ。特に、その様な集合の位数(個数)が最小になる様にした時、その集合の元は全て独立である。なおここで、もし採用した表現がユニタリー表現の場合には、生成子の集合に属している行列はエルミート行列となる。

群は必ずしもベクトル空間になっているわけではないが、一方その群の生成子はベクトル空間を成している。直感通りベクトル空間の方が我々には扱いやすいので生成子からなる空間について考える事にしよう。その結果出てくるのがリー代数という代数系である。

リー代数

代数とは数学の分野名でもあるが、多元環という代数系の別名でもある。紛らわしいが、ここでは多元環の意味で代数という呼称を使用する。

さて、「代数」は環とセットで「環R上の代数」の様に定義される。Aが環R上の代数であるとは、「①Aが環R上の加群であり②双線形写像を持っている」という様に定義される。

特に今回興味があるのは特に、環Rが体である時なので定義は次の様になる。体K上の代数とは「①体上のベクトル空間であり②双線形写像を持っている」ものである。(体K上のベクトル空間と体K上の加群の別名である。)

ここで、先ほど考えていたリー群の生成子の集合を考えよう。生成子からなる集合はベクトル空間となるのだった。なので、生成子が代数となるために必要な事は生成子等の間で双線形な写像が構成できればいいということであるが、その写像は実際に存在する。

上述の双線形写像は次の様な論理で主張/構成する事ができる。まず、リー群の恒等元の近傍の元は群の生成子の指数関数の形で表現できる。次に、その表現が確かに群の表現となるための条件を考えると、「二つの元の交換関係を取る」という演算は双線形であり、かつ演算が生成子の集合上で閉じているという事がわかるのだ。この事によって、生成子の集合は代数となる事がわかる。この代数の事をリー代数と呼ぶ。構成方法から明らかに、リー群に対してリー代数は一意的に定まるが、同じリー代数を持つ様なリー群は一意には定まらない。しかし、もちろんある程度の対応は持っており、同じリー代数を持つ様なリー群は局所的な位相構造が同型である。

先ほど述べた「リー群の単位元の近傍は局所的な多くの情報を持っているが、大域的な情報は持っているわけではない。」という主張は、「リー群からリー代数は一意に定まるが、同じリー代数を持つ様なリー群は一意には定まらない。しかしながら、同じリー代数を持つ様なリー群は局所的な位相構造が同型である。」という、より具体的な主張へと対応づけられる。

疑問と曖昧な点

以下の通り。
・ユニタリ表現のリー群の場合、生成子がエルミート行列になるという事実。
・リー群の生成子を取るところや、生成子による指数関数でリー群の単位元の近傍を表現できる点などの論理や存在性などが曖昧。

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